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2013年1月15日火曜日
【資料】被曝によるDNAへの影響および被曝が誘発するガン以外の病気
「放射線の健康への影響.(第1版) チェルノブイリ救援・中部」
から重要部分の抜粋。
(注:PDF)
http://www.chernobyl-chubu-jp.org/_userdata/ikeda2.pdf
放射線のDNAへの影響(1)
放射線のガン以外の影響(2)
甲状線疾患(ヨウ素131の被曝による)、良性腫瘍、循環器系疾患(貧血、高血圧、心臓疾患、腎臓疾患、リンパ疾患、呼吸器系疾患、)筋肉・骨の疾患、眼の疾患、自律神経失調症、感染症などの病気にかかりやすい、免疫力の低下、疲れやすい、力が出ない、早く年をとる(加齢現象)、赤ちゃんの障害など.
ウクライナ・ジトーミル州・マーリン市で被曝したクレンタ・ナディア・ムイコライブナさん
「私の娘ルーダチカは8歳で、血液中のヘモグロビンは少し下がり、白血球も下がり、病気になりやすい子供です。いつもどこかが痛いと訴えています。頭かおなかか心臓の痛みを訴えてます。地元の地域病院で検査を受けたところ、心音が聞きにくかったです。肝管の運動障害もあって『病気の束』なのに子供はたった8歳なのです」
*これらの症状は、放射線の影響ではないと取り扱われる場合が多く、放射線量の安全基準には考慮されていないと言って良い。
放射線の被曝(4)
◆計算の例:測定された空間線量率(空気中で浴びる放射線の量)が
1.5μSv/h:1時間で1.5マイクロシーヘ゛ルト(コップ1.5杯)だとすると、
1日では、1.5×24(時間) = 36μSv(コップ36杯)
1ヶ月では、1.5×720(時間)=1080μSv(コップ1080杯)
≒1000μSv=約1mSv(コップ約1000杯)
1年では、 1.5×8760(時間) ≒ 約13mSv(コップ1万3千杯)
◆1日の外部被曝線量は、場所によって放射線量が違うので、どこでどのくらいの時間を過ごすかによって異なる.
放射線の被曝(7)
②放射性物質が身体の中に入り、身体の中で当る放射線(内部被曝)その1
〈浴びる放射線(被曝)の量〉
体内に取り込んだ放射性物質は、自身の出す放射線が時間とともに減ったり、身体の働きによって体外へ排出されたりする。
したがって、放射線量は時間とともに減るが、ある量の放射性物質を取り込み続けると、体内にはある一定量以上の放射性物質が常にとどまって内部被曝が続くことになる。
放射線の被曝(8)
②放射性物質が身体の中に入り、身体の中で当る放射線(内部被曝)その2
〈浴びる放射線(被曝)の量〉
1日100Bq [ベクレル] (1秒間に100回放射線を出す)の放射性物質を
体内に取り込んだとすると,
ヨウ素131では、 1,130Bq 溜まる(3ヶ月で飽和)
1日100Bq [ベクレル] (1秒間に100回放射線を出す)の放射性物質を体内に取り込んだとすると・・・・
セシウム137では、 14,240Bq 溜まる(1年で飽和の90%)
15,760 Bq 溜まる(3年でほぼ飽和)
・ヨウ素131は甲状腺に集まる(甲状線ホルモンがヨウ素でできているため)。
なお、子どもは大人よりも甲状線が小さく、その分放射線の影響が大きく出る。
・セシウム137は血液を通して全身にまわる。時間が経つと筋肉に集まる。
参考:ストロンチウム90は体内半減期が18年と長く、骨に集まる.
放射線の被曝(9)
②放射性物質が身体の中に入り、身体の中で当る放射線(内部被曝)その3
〈浴びる放射線(被曝)の量〉
現在の暫定安全基準の飲料・食糧を取り続けたとすると、体内に溜まる放射線量はどのくらいに?
*1日に飲料を1.5リットル、食事を1.4kg取ったとして
ヨウ素131.1日に体内に取り込まれる量は
300Bq/リットル×1.5リットル+2,000Bq/kg×1.4kg = 3,250Bq
取り続けたとき体内に溜まる量は
1,130Bq×3,250Bq/100Bq = 36,700Bq
セシウム137.1日に体内に取り込まれる量は.
200Bq/リットル×1.5リットル+500Bq/kg×1.4kg = 1,000Bq
取り続けたとき体内に溜まる量は(1年取り続けたとして)
14,240Bq×1,000Bq/100Bq = 142,400Bq
この放射線の量の被曝による影響はどのくらいに?
*放射性物質が降り注いでいるときを除けば、飲食による内部被曝が大部分である
(呼吸による内部被曝は少ない)
放射線の被曝(10)
②放射性物質が身体の中に入り、身体の中で当る放射線(内部被曝)その4
〈浴びる放射線(被曝)の量〉
◆被曝線量(身体のダメージの大きさ):mSv(ミリシーベルト)は暫定安全基準の飲料・食糧を食べ続けたとして、
ヨウ素131.
3,250Bq/日×90日×2.2×10-5 mSv/ Bq = 6.4mSv
*半減期が8日と短いため影響のあるのを3ヶ月とした
セシウム137.
1,000Bq/日×365日×1.3×10-5 mSv/ Bq = 4.7mSv
*半減期が30年と長いため影響のあるのを1年とした
ヨウ素131、セシウム137それぞれ放射性物質を取り扱う管理区域境界の外部被曝線量年間 5.2mSv相当に近いかそれを超える内部被曝線量になる.
◆チェルノブイリ原発事故で被災したナロジチ地区住民の内部被曝線量
セシウム137で平均17,000Bq
(1日あたり120Bq のセシウム137を1年間取り続けた値:0.57mSv/年に相当)
⇒さまざまな健康障害が発生!
→詳細は後述(28~31頁に記載)
暫定安全基準は決して安心できる安全な値ではない.
浴びる放射線の量と健康への影響(2)
・100mSV以下の被曝線量での影響
・内部被曝の影響.
・ガンで亡くなる以外の健康への影響
誰もが認めるデータは存在しない研究者により評価が異なる)
例えば、ガンで亡くなる確率にしても、次のような違いがある
10mSv で 1万に 5(ICRP:国際放射線防護委員会)
1万に 10(BEIR:アメリカ科学アカデミー委員会)
1万に 40(J.W.ゴフマン氏:カリフォルニア大学名誉教授)
チェルノブイリ救援・中部は1990年より現地支援をしてきたが、関わりの深いウクライナ・ジトーミル州・ナロジチ地区(菜の花プロジェクトの舞台)のデータを基に放射線の被曝による健康への影響を考える
*ECRR(ヨーロッハ゜放射線リスク委員会)では、ガン死の確率を計算する係数はBEIRと同じICRPの2倍を用いるが、内部被曝の場合はさらに核種ごとに定められた係数をかけて線量を大きくする。例えば、ストロンチウム90は300倍。
浴びる放射線の量と健康への影響(3)
◆ナロジチ地区(支援被災地)とは
〈放射能汚染地図〉
ナロジチチェルノブイリ
約70km
人口:9,590人(2010年1月1日現在:地区行政登録者)
【事故前 27,000人】 3分の2以上の人が移住
町村数:65 【事故前89】24の村が廃村に
面積: 1,230km2 (35km四方相当)
うち居住地 62km2 (5%)
居住地の汚染度.
第2ゾーン 強制移住地域:20%(555kBq/m2以上)
第3ゾーン 任意移住地域:41%(185~555kBq/m2)
*ジトーミル農業生態学大学提供資料より.
国の経済的な理由などから移住政策が中断し、今でも人々が住んでいる.
産業基盤であった農業は衰退し、自家菜園で自給自足中心の生活.
浴びる放射線の量と健康への影響(4)
◆ナロジチ地区(支援被災地)の人々の被曝線量 その1
移住に関する法律は1991年(チェルノフ゛イリ原発事故から5年後)に施行された。
・第2ゾーン 強制移住地域は
セシウム137 55万5千ヘ゛クレル/m2以上(年間5[mSv:ミリシーヘ゛ルト]以上相当)
・第3ゾーン 任意移住地域は セシウム137 55万5千~18万5千ヘ゛クレル/m2(年間1[mSv]以上相当).
浴びる放射線の量と健康への影響(5)
◆ナロジチ地区(支援被災地)の人々の被曝線量 その2
〈ナロジチ地区病院測定〉
*691名(うち14歳以下63名)
平均17,000 [Bq べクレル]
1日あたり120Bq のセシウム137を食品から1年間取り続けて体内に
蓄積される量に相当
⇒現在の日本のセシウム137暫定安全基準(食品)は500Bq/kg
⇒安全基準ギリギリの食品を240g食べると120Bq になる.
参考:ICRP.Publ.72を基に年間の被曝線量を計算すると
120Bq×365日× 1.3×10-5 mSv/ Bq =0.57mSv.
浴びる放射線の量と健康への影響(6)
◆ナロジチ地区(支援被災地)の人々の被曝線量 その3
〈参考:セシウム137の安全基準比較〉
品 目ウクライナ(97年改定) 日本暫定基準
飲料水 2. 200
パン 20 500
ジャガイモ 60 500
野菜 40 500
果物 70 500
肉類 200 500
魚 150 500
ミルク・乳製品 100 200
卵(一個) 6 500
粉ミルク 500 200
野生イチゴ・キノコ 500 500
幼児用食品 40 なし
浴びる放射線の量と健康への影響(7)
◆ナロジチ地区(支援被災地)の人々の健康状態 その1
2008年罹患率(1万人あたり)
呼吸器系疾患2260人
血液疾患302人
新生物281人
神経系疾患221人
心臓血管系疾患178人
内分泌疾患166人
消化器系疾患96人
筋骨格系疾患64人
〈成人(18歳以上)の罹患率データ〉
*ナロジチ地区中央病院調査
1988年(原発事故から2年後)は原発事故以前(1983年)とあまり変わらないが、1993年(7年後)から大幅に増加して、2008年(22年後)が最も多くなっている.⇒放射線被曝の影響が年月を経て出てきていると考えられる.
浴びる放射線の量と健康への影響(8)
◆ナロジチ地区(支援被災地)の人々の健康状態 その2
〈子ども(17歳以下)の罹患率データ〉
2008年罹患率(1万人あたり)
心臓血管系疾患.60 36人
血液疾患.17 08人
新生物.12 05人
神経系疾患.8 31人
消化器系疾患.7 13人
内分泌疾患.6 07人
呼吸器系疾患.1 23人
筋骨格系疾患.18人
原発事故後、年月とともに罹患率は増加の傾向.
⇒事故時に被曝した子どもよりも事故後生まれて被曝した子どもの方が罹患率が高い.
成人よりも罹患率が高い。特に、心臓血管系疾患が非常に高い(2008年で成人の34倍)
⇒子ども、さらに、胎児、赤ちゃんのときの被曝の影響が大きい.
浴びる放射線の量と健康への影響(9)
◆ナロジチ地区(支援被災地)の人々の被曝線量と健康状態(まとめ)
1991年(5年後) 2001年(15年後)
強制移住地域.4mSv 。 1.2mSv
任意移住地域.2mSv . 0.5mSv.
2001年の内部被曝量0.5~0.6mSv/年*1日あたり120Bq摂取.
浴びる放射線の量と健康への影響(9)
◆ナロジチ地区(支援被災地)の人々の被曝線量と健康状態(まとめ)
食事から呼吸から地表面から.
強制移住地域.4mSv 。 1.2mSv
任意移住地域.2mSv . 0.5mSv.
外部被曝線量が立入禁止箇所の設定、道路洗浄、雨などで減ったと思われる
事故直後を除き影響は少なめと考えられる風の強いホコリ舞う日は注意.
成人(18歳以上)総罹患率.10人に6人.新生物.百人に 3人.
子ども(17歳以下)総罹患率.1人2疾患.新生物.百人に12人.
健康への影響(罹患率)は年々拡大して2008年(22年後:最新の調査年)が最大
例えば、年間1.5mSvを20年間 30mSv浴びたとして、ICRPのガン死の確率は千に1.5、低線量率の1/2の補正を行わない場合で千に3、この値を基準にガン死以外の健康への影響を考えると⇒ 成人の新生物で10倍、総罹患率で200倍
子どもは、さらにその3~4倍の影響となる.
今後の取り組みに対する提案(1)
「放射線をできる限り浴びない」やはりこれが基本だと思います。
ここまでは安全という基準を設けて、放射線を浴び続ける状態を黙認していくということはあってはならないと思います。
数年後、数十年後の影響を考えて行動を起こす必要があります。
今後の取り組みに対する提案(2)
安全な飲み物や食べ物を作り、それを飲み食べ命の糧とする。
そして、お互いのつながりができる。やはり、これが基本だと思います。
内部被曝については、暫定安全基準の少なくとも10分の1を目標にして、生産する人々と飲み食す人々が一緒になって取り組む必要があります。
命を守るためには、年間被曝線量1mSv(外部被曝+内部被曝)を目標にした取り組みを早急に始め、さらに数年後には、5~10分の1の被曝線量を目指して取り組む必要があると考えます。
やきとりのいない八月
飛び地A
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