投稿日:2013/08/20(火) 00:32:25.33 ID:KE0mt0K/0
ウクラナイ、ベラルーシにおける小児甲状腺癌の手術(およびヨウ素照射)による後遺症、合併症についての情報です。「手術後にすぐに現れる後遺症・合併症」(early side effect)と、「手術から相当の時間を経て現れる後遺症・合併症」(late side effect)に分類されています。
初期の後遺症・合併症
放射線による甲状腺炎=稀
病理胃炎(吐き気)=50-80%
唾液腺炎=20-30%
白血球・血小板減少=20%
術後相当経た後の後遺症・合併症
発育不全=データーなし
生殖腺の機能不全=20-50%
精子無力症=20-30%
眼球乾燥症候群=10%以下
肺線維症=5%
白血病=1-2%
Thyroid Cancer in infants and adolescents after Chernobyl
Christoph Reinersa, Yuri E. Demidchikb, Valentina M. Drozdc, Johannes Bikoa
(Table 13にデーター記載あり)
(word文書、検索に入れれば論文が出てきます)
771 名前:地震雷火事名無し(新疆ウイグル自治区)
投稿日:2013/08/20(火) 00:37:48.73 ID:KE0mt0K/0
小児甲状腺癌にかかると「大人になってから生殖能力がなくなる」と
言われています。
ウクライナ、ベラルーシの例だと、「生殖腺機能の不全」(Impairment of Gonadal Function)が20-50%、
「精子無力症」(精子の活動能力が低下したり、精子の数が減ること)(Oligo-/Asthenozoospermia)
が20-30%とあり、生殖能力に対する影響は少なからずあると言えます。
ただし、チェルノブイリでは小児甲状腺癌になっても大人になって子どもを産み、育てている人もたくさんいますので、可能性としてはあるものの、この点を強調するのはよくないと思われます。
772 名前:地震雷火事名無し(新疆ウイグル自治区)
投稿日:2013/08/20(火) 00:43:37.97 ID:KE0mt0K/0
初期の後遺症として多いのが、吐き気(nausea, vomiting)です。
これはヨウ素照射をした場合には、とくに頻繁に起こるとされています(胃腸への後遺症のようです)。
よって、手術前には「鎮吐剤」が適切に処方されることが、小児甲状腺癌の治療では必須であるとされています。
On the contrary, nausea and vomiting due to gastritis and/or psychic effects has to be taken into account regularly
(so that pre-treatment with effective antiemetica is mandatory in children).
773 名前:地震雷火事名無し(新疆ウイグル自治区)
投稿日:2013/08/20(火) 00:49:30.74 ID:KE0mt0K/0
小児甲状腺癌は再発率が高いために、ヨウ素131による照射(ablation)が行われます。ヨウ素照射による後遺症としてしばしば起こるのが、唾液腺の炎症(sialadenitis)とされています。
とくに、ヨウ素照射が高線量で行われると唾液腺(salivary glands)が炎症を起こしやすくなるとされています。
A frequent side-effect in patients treated with radioiodine for thyroid cancer not depending on patient’s age is sialadenitis induced by relatively high uptake of I-131 by the salivary glands.
素人ながら、唾液腺炎というのはかなりやっかいな病気のようです。
http://www.jsoms.or.jp/public/kouku_geka/setumei_daeki.html
(唾液腺炎とは?)
774 名前:地震雷火事名無し(新疆ウイグル自治区)
投稿日:2013/08/20(火) 00:54:56.39 ID:KE0mt0K/0
ヨウ素照射治療を受けた子どもの20%は、その後、数週間は白血球・血小板減少( leuko- /thrombopenia)の症状を示すとされています。ただし、これは「束の間」(transient)の後遺症のようです(ただし、白血球や血小板が減ると、免疫力が低下するので、術後の体の弱った時期には感染症にかかる恐れなどがあると考えられます)。
Similarly, transient leuko- and/or thrombopenia occurring during the first weeks after administration of radioiodine
may be seen in approximately 20% of the patients treated with radioiodine.
776 名前:地震雷火事名無し(新疆ウイグル自治区)
投稿日:2013/08/20(火) 01:01:45.70 ID:KE0mt0K/0
小児甲状腺癌は、治療後に「発育不全」をもたらすと言われています。
とくにヨウ素照射とTSH抑制剤を組み合わせると、身体の発達に障害を与えることが理論上は考えられます。
しかし、ウクライナ、ベラルーシの事例では、小児内分泌化の医師が慎重に追跡調査をしたところ、とくに発育不全の例(もしくはその兆候)は見られなかったとのことです。
With respect to late side effects of combined treatment with radioiodine and TSH-suppressive doses of levothyroxine,
disturbances of physical development at least hypothetically may occur. However, careful follow-up by pediatric endocrinologists
did not reveal any signs of impairment of physical development in our patients.
777 名前:地震雷火事名無し(新疆ウイグル自治区)
投稿日:2013/08/20(火) 01:11:54.36 ID:KE0mt0K/0
術後かなり経った後の合併症のなかで一番やっかいなのが肺線維症のようです。
甲状腺癌が襲撃的であり、肺に転移した場合、かなり高線量のヨウ素131を照射する必要があります。
その結果、肺線維症(肺の機能障害)が合併症として起こります。ベラルーシの事例でも、1993年にドイツで甲状腺癌手術を受けた子どもが2007年に肺線維症によって死亡しています。
A special problem of radioiodine treatment in children is induction of pulmonary fibrosis due to high radioiodine uptake
in lung metastases with miliary spread. (中略)One of those children ; the very first patient who came to Germany for treatment in 1993
unfortunately died in 2007 of pulmonary fibrosis.
778 名前:地震雷火事名無し(新疆ウイグル自治区)
投稿日:2013/08/20(火) 01:20:51.52 ID:KE0mt0K/0
ヨウ素治療は放射線治療ですので、治療が将来別の癌(二次癌)を生み出すこともありえます。場合によっては、治療から40年の潜伏期を経て癌が発症することもありえます。とくに、(甲状腺癌が肺に転移している場合)、女性では胸部にかなり高線量の放射線を受けることになるので、女子の場合、乳癌の合併症リスクを真剣に考える必要があります。ただし、甲状腺癌の治療後に二次癌を発症したという報告は今のところないそうです。
High dose radioiodine therapy may induce secondary tumors. This may occur after long latency times up to 40 years.
Since especially the female breast is exposed to a relatively high radiation dose, the risk for developing breast cancer
has to be taken into account seriously. Epidemiologic studies, however, fail to prove this hypothesis.
779 名前:地震雷火事名無し(新疆ウイグル自治区)
投稿日:2013/08/20(火) 01:26:27.31 ID:KE0mt0K/0
ただし、二次癌(続発性腫瘍)の合併症リスクは、潜伏期間が長い(40年など)ために、実証的にそのリスクがゼロであるとは証明されていません。今までの研究は追跡期間が10~15年と短いために、報告例がない可能性もあり、現状ではそのリスクを排除することは出来ないとされています。
The literature review didn’t reveal a significantly increased risk of second primary malignancies after I-131 therapy in children and adolescents (Tab. 14).
However, follow-up times of 10-15 years are too short to exclude such a risk. Therefore patients treated with high activities of radioiodine, especially children,
should be carefully followed-up during their whole lifespan.
780 名前:地震雷火事名無し(新疆ウイグル自治区)
投稿日:2013/08/20(火) 01:32:51.87 ID:KE0mt0K/0
最後に、二次癌とは別に、ヨウ素治療によって1~2%の子どもが後に白血病になっています。
これはかなり深刻です。