岩上安身氏による広河隆一氏インタビュー。
maiさん
https://twitter.com/jrmmnisi
による要点書き起こし。
始まりました。岩上「スピリッツで話題になった鼻血の件について広河氏に聞きます」
広河;先日チェルノブイリに行った。岩上;最新号DAYS JAPANに取材の件が書かれている(5月20日発売)
広河;鼻血や疲労感については私にもあるし、自分の体験として書くのは問題ない。復興に問題があるかのように受け取った人には腹が立つということだろう。鼻血が一切出なかった人もいる
広河;あまりにも影響力が強くて 岩上;美味しんぼで書かれたのではなかったら・・。我々も言い続けてきたことだが、今回あまりにも影響力が大きかったということか
岩上;井戸川氏が今でも鼻血が出ていると言われている。ご本人に確認してみた。FBで鼻血が出ている姿を出すまでしないと信用してもらえない。
岩上;緊急で話を聞こうと思ったきっかけは、広河氏からの報告書。
(注:PDF)
http://www.labornetjp.org/files/0514days
岩上;チェルノブイリでなにが起こったのかをバイアスのかからない状態で調査した、その結果。これについてお聞きする
広河;事故が起こって現場に入ったのは3年目。安全だと言われるが、本当か。数値も教えてもらえない、と現地の住民に言われた。測定器を持つのも禁止されていた。
広河;測定機を持ち込んでスイッチを入れたら、原発から200mくらいと同じ数値が出た。
広河;今回関係してると思われたのは、チェルノ事故後1週間でどんな症状が出たかというアンケートを取ったもの。プリピャチ市の方で9501人が回答している
広河;プリピャチは原発から3キロ。双葉などと同じくらい。鼻血が出た人は17~19パーセント。5分の1は鼻血が出ている
広河;距離に比例するわけではない。30パーセント鼻血が出ている地域もある。
岩上;実際に事故の起きていない時に、5人に1人が鼻血を出すというようなことは起きていない。
広河;事故当時鼻血を出した方は、いまだに鼻血を出している。事故後の10年後にも鼻血を訴えていたことには驚いた。
岩上;直後にだったら許容できたかもしれない。3年も経っていていまでもこんなことを、という人たちがいらっしゃる。この「3年」という感覚は広河氏から見て?
広河;チェルノでは3年4年経ってから症状が顕在化しているのでこれから警戒しなくてはならない。
岩上;放射能と結び付けて語れないという空気が作られてしまった
岩上;IAEAは当時「放射能恐怖症」というレッテルを作り上げた。その組織のトップは日本人。
岩上;いま4年目に入っていこうというこのときに、批判が起こる。各大臣が批判を加える。スピリッツ側も連載を休載する。臆したのか、委縮したのかと見える。
広河;3年目の前くらいから政府は福島の安全宣言、戻そうとする動きが活発化している。気のせいだという大宣伝。原発も再稼働、輸出。すべてつながっている。
広河;ものすごく大きな力が不安をとなえる人間たちの口を封じようとしている。どこの保育園とか幼稚園の先生から見たら、鼻血の話は全然不思議なことではない。
広河;保養施設にくるお母さんからは、鼻血の話を当たり前に聞く。
広河;「鼻血があってもそんなに不安はない」というならわかるが、「なかった」と言うのは常軌を逸している。
チェルノブイリでは避難民の5人に1人が鼻血を訴えた 2万5564人のアンケート調査で判明
広河;町や村が違っていても、だいたい半数の方が疲労感を訴えている。(チェルノ報告)
岩上;復興の話。復興のじゃまになるということで、健康被害を訴えないでくれと言われる方がいるのでしょうけど。
広河;鼻血なんて聞いたことがないと言われる方がいたり、放射能と関連付けるなと言われることもある。疫学的な積み重ねで甲状腺癌も認められてきた。少なくとも「関連ない」と言いきれない
広河;「事実でないことを言って、さも広がっている」ということをいって食べ物は安全だと言いたい人もいるのは事実。下手な手で「安全」というのを信じて我々は痛い目を見てきている
広河;ホットスポットファインダーと言う測定器。モニターに出てくるのは1秒ごとの汚染。歩いていくどの場所に汚染があるかを調査する。日本で測って、向こう(チェルノ)でもどうかを調べた
岩上;わずかな移動距離でも変化し記録する。膨大な測定をなさったのがこの表紙→
http://www.daysjapan.net/about/index2.html
岩上;この数が問題なのでなく数値がどのくらいか、ということだが。ざっと見たところ大差がないように思う。20日発売のDAYS6月号です。みなさん買ってくださいね
広河;黄色は年間許容量を超えてしまう地域。
岩上;やっぱりチェルノ周辺は高いということですかね
広河;チェルノブイリの原発のすぐ近くで、数値が高いところで2.28。福島ではこの数値で人が住んでいる地域がある。
広河;福島で、言われている数値よりももっと高い数値が出たところもあった。
広河;チェルノに行って福島市の測定結果を見せた。向こうの人はまさかこんなところに人が住んでいないと思っているから、住んでいると伝えると絶句する。向こうでは人が住んではいけない所
※昨年の4月号のDAYSで福島の数値の測定特集。(バックナンバーの購入も可能です)
広河;チェルノではプルトニウムもストロンチウムも測っている。日本ではセシウムだけ。
広河;チェルノ取材時に、バターを作っているところで「測定したのでこれで安全ですね」と聞くと「セシウムだけなので安全ではないです」と言われた。セシウムだけ測って安全ですとは言えない
岩上;このチェルノブイリこども基金としてやった調査があるといって突き付けたので、森大臣も少したじろがれたのかな、と
広河;今の安全宣言の基準は20ミリですよね。そういうところに子どもや妊婦を置くことをどのように考えるのか。復興の足掛かりにしたいというなら、安全になるまでそこから離れてもらうべき
広河;「本当にあの人たちが安全と言っていることが安全なのか」、とお母さんたちが思ってしまう。
広河;いわき市民測定室たらちねというところがどこかに測ってもらおうとやっと見つけたのが新潟大だった。ストロンチウムなどβ線を測定してもらおうとしたら、一検体20数万円と言われた
広河;何カ月も待って、しかも20数万円もかかるので結局測ってもらわなかった。日常的に食品を測定するなんてこんなのではできない。そういう状態なのに、「絶対安全」などと言えるわけない
広河;20ミリうんぬんのところで人々を住まわせるのは、まだ非常時だということ
岩上;昔、非常時にはこどもたちは疎開させた。
岩上;被ばく数値の低いところにこどもたちを疎開させるべきではないのか。
広河;飯舘は大量に被ばくして、安全だという人たちが送り込まれた。今は長いスパンで同じことが行われている
チェルノブイリでは避難民の5人に1人が鼻血を訴えた 2万5564人のアンケート調査で判明
岩上;福島の調査の結果が出ている。井戸川さんが町長時代にお願いをして、双葉町の健康調査報告を岡山大の先生などと共同で疫学調査を学者の手で行っている。鼻血を含んで有意に症状多かった
岩上;井戸川さんの時代に明らかに有意な調査結果が出ている。事故から1年半の時点。特に多かったのが鼻血であったとデータに出ている。学者による疫学調査ですよ。
広河;スピリッツについて)こういうことを認めたくない人の神経を逆なでしたかもしれないが、今はこういう雑誌社が踏ん張らないといけない時。論点はいくつかにわけないといけない
岩上;鼻血を出す人が有意に多いと疫学調査で結果が出ている。あとは因果関係
広河;汚染地で何が起こっているかということが、チェルノでは隠されていた。地元記者が入って動物の出産異常や住民の症状を調査したが、KGBが4か月記事を差し止めた。記者は体調崩し入院
広河;彼が記事を書いたおかげで、危険な地域から人が避難したりいろいろと有意義な結果になった、と記者は話していた。それに対し専門家はわざわざ問題を引き起こしたという言い方をしていた
岩上;そろそろまとめに。ソ連時代のチェルノブイリを取材してこられた広河さんの知見から我々はどうなんだと。
岩上;ソ連時代の一党独裁の規制体制に比較しての日本は巧妙に規制されているのではないかと。
広河;日本が経験する前は、旧ソ連体制の閉そく性を感じていたが、実際日本で事故が起こったら「なんだソ連の方がちゃんとやっていたじゃないか」と感じることがあった。女性を逃がしたこと等
広河;ソ連では女性と子供をまず逃がす。そのあとに大人を逃がす。風向きが変わっても絶対安全なところが、安全なところ。ウクライナの当時の首相が女性だった。女性の命に対する思いはすごい
広河;男性はかいわれ食べたりなにか食べたりといろいろするが、女性は自分のこどもに食べさせられるかどうかで判断する。当時の首相が女性だったのは幸運なことだった
広河;チェルノの医者たちは「安全だ」と判断した専門家に「そんなことはない、子どもたちが目の前で病になっている。大人だったらわかるが4歳5歳の子ども、まして動物が恐怖症になるか」と
広河;日本にはそのように反論する医師があまりにも少ない。
広河;自主規制もどんどんこれから起きてくる。これ(美味しんぼ)がその始まりにならないでほしいが