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2013年8月18日日曜日

【被曝問題】福島県民健康管理調査の検討委員が地元紙に「猛烈に楽観的」な寄稿

☆寄稿 「遺伝への懸念」がもたらす悲劇~福島大教授 県民健康管理調査検討委員 清水修二 (福島民報)

http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2013/08/post_7886.html

http://www.peeep.us/4460d2ff

広島・長崎の被爆者の健康調査で、被ばくによる遺伝的な障害は確認されないという結論が出ている。チェルノブイリ事故の被災地でも、先天異常の発生率は汚染地域と他地域とで差がないと公式に報告されている。

(略)

被災者である県民自身が遺伝的影響の存在を深く信じているようだと、「福島の者とは結婚するな」と言われても全く反論できないし、子どもたち自身から「私たち結婚できない」と問われて、はっきり否定することもできない。親子ともども一生、打ちのめされたような気持ちで生きなければならぬとしたら、これほどの不幸はあるまい。

原爆被爆者たちが歩んだのと全く同じ苦難の道を、福島県民は歩まされるのだろうか。明確な根拠もなく遺伝的な影響を口にする世の「識者」たちは、自らの言動のもつ重い影響と責任を、自覚しているのだろうか。




《備考》

☆原発事故「最も憂慮すべきは遺伝子変異」
(2011年3月23日のスイス国際放送)

http://www.swissinfo.ch/jpn/detail/content.html?cid=29799892

swissinfo.ch:専門家によれば3月17日と18日の2日間が原子炉冷却の鍵を握る最後のチャンスとされ、成功しなければ炉心溶融が決定的になるとのことでした。世界が日本に対して抱く不安は当然のものですか。


ヴァルター:当然だ。先述したがんの増加を恐れてのことだ。例えば、チェルノブイリでも急性被曝で死亡した人は多くなかったが、事故後にがんで多くの人たちが亡くなった。

しかし、がんのリスクの増加以上にもっと深刻な問題は遺伝子への影響だ。それも世代を越えた影響だ。最新の研究では、少量の吸収線量でも継代的な影響がありうることが分かっている。

イギリスにあるセラフィールド(Sellafield)の使用済核燃料の再処理工場に勤務する人たちの子どもには白血病のリスクが高い。これは父親の吸収線量と関係があり、子どもたち自身は放射線にさらされていない。原発事故だけでなくこうした通常の場合でも、人間ならび動植物の遺伝子に損傷が発生する。こうした事実を知った上で、あえて原子力に頼るかどうかはむしろ倫理的な問題だ。

(略)

それに対し、チェルノブイリの事故後に解体作業者として入った父親から被曝後に生まれた子どもたちには一定の割合の遺伝子(ミニサテライトDNA)に相当数の変異が見られた。遺伝的な視点で見ると、今回の福島第一原発の事故は深刻なケースだ。




☆小児がん科医として、フクシマの子どもたちの命を思いやる
(2011年6月15日のスイス国際放送)

http://www.swissinfo.ch/jpn/detail/content.html?cid=30358134

swissinfo.ch:こうした染色体異常を起こすものに、ウイルスや発がん性物質もありますが、放射線は代表的な原因ですね。

リドルフィ:放射線が染色体を切断し損傷することは知られている。また放射線が、がんの原因であることは、広島・長崎の原爆投下数年後、白血病の子どもが増え、さらにその数年後固形がんの子どもが増えたことでも証明されている。

チェルノブイリでも白血病の子どもが増えた。

(略)

swissinfo.ch:ところで、染色体の損傷や切断は少量の放射線でも起こるのでしょうか?

リドルフィ:公式には、今の段階では分からないと言われ、年間50ミリシーベルトから100ミリシーベルト被曝すると、がんになる可能性が高まるが、それ以下では分からないと言われてきた。

ところが、ドイツでは原発周辺に住む5歳以下の子どもを対象に、小児がん及び白血病発生率と原発との因果関係についての調査が国の依頼で行われた。2007年に出た結果によれば「原発に近ければ近いほど小児がん及び白血病発生率が高い」。それは即ち少量の放射線が染色体に影響を与えるということの証明だ。

5歳以下の子どもは大人より、2、3倍も放射線の被害を受けやすく、胎児はなおさらだ。それは成長のために細胞分裂が絶えず行われており、染色体が不安定な状態にあるからだ。

このため、この調査にあたった研究機関の一つ「核戦争防止国際医師会議(IPPNW)」は、原発から出る放射線の基準量を胎児に則した値に改めるよう要求し、ドイツの全原発の稼動停止を当時すでに求めていた。

この発表は子どもを持つ家族や一般市民に衝撃を与え、今日ドイツが脱原発の道を選択した一要因になっているかもしれない。

ただ、この調査以外には、長期に少量の放射線量を浴びるケースの研究はわずかしか存在しない。長期間で経費もかかる非常に困難な調査だからだ。しかし、少ない調査結果とはいえ、現在多くの医学者、科学者が放射線は少量でも危険だ、特に子どもの場合は特別に危険度が高まると言っている。



swissinfo.ch:遺伝的な問題の質問です。イギリスにあるセラフィールド(Sellafield)の使用済核燃料の再処理工場に勤務する父親の子どもには白血病のリスクが高いという報告がありますが、それはなぜでしょう。


リドルフィ:それは、父親の睾丸に放射線があたり、精子の染色体が異常になり、たとえ母親の卵子が正常でも生まれてくる子どもは、いわば全身の細胞の染色体に父親の染色体の異常を受け継ぐため、白血病になる可能性があるからだ。

また、この2世代目がたとえ白血病などを起こさなくても、全身の細胞ということは、その子の卵子や精子まで染色体異常を受け継ぐため、第3世代、第4世代まで染色体異常は受け継がれる。

さらに、現在小児医学では、多くの脳や神経系の病気が染色体異常によって起こることも分かってきている。

このため、今フクシマの原発事故現場で働いている人たちのことを考えると胸が締め付けられる思いだ。



swissinfo.ch:では、例えば被爆によって子どもが白血病にかかっても、その子が完治して大人になった場合、その子孫は大丈夫なのでしょうか。

リドルフィ:小児白血病が化学療法で完治した場合、白血病細胞はすべて死ぬため、その子が大人になり子孫を作っても、子孫が白血病になることはない。要するに異常染色体が受け継がれなければ大丈夫だ。



☆福島原発事故、遺伝子突然変異は人類にとっての問題
(スイス国際放送。2011年10月6日)

http://www.swissinfo.ch/jpn/detail/content.html?cid=31290712

swissinfo.ch :最後に、放射線による遺伝子の突然変異、それも低線量被曝の遺伝子突然変異について説明してください。

ヴァルター:チェルノブイリの事故から10年後の1996年にロシアのドゥブロバ(Dubrova)医師が英科学誌ネイチャー(1996Nature;380:683-6)に報告した例によると、チェルノブイリでセシウムなどに汚染された地域の人に遺伝子突然変異が多く見られた。

また、イスラエルのヴァインベルク(Weinberg )医師の調査(Proc Biol Sci 2001;268
(1471):1001-5)によれば、チェルノブイリの事故収束に働いた男性の2人の子どものうち、事故以前に生まれた子どもには遺伝子突然変異がまったくなかった。しかし、事故後イスラエルに移住して生まれた子どもにはある数の遺伝子突然変異が見られた。

放射能被曝によって父親の優先遺伝子が損傷されると子どもに病気が現れる。しかし、もし父親の劣性遺伝子が突然変異を起こした場合、子どもに受け継がれても、劣性遺伝子なので表面的には何の異常も起きない。これが、このイスラエルで生まれた子どもの場合だ。

しかし、もし遠い将来この子の子孫が偶然、同じ突然変異の劣性遺伝子を持った人と結婚し、劣性遺伝子同士が組み合わさるとさまざまな病気などが発現する可能性が考えられる。

ただ、何が発現するかは全く分かっていない上、こうしたことがチェルノブイリやフクシマで起こる可能性があるものの、さまざまな要因が絡むため約10世代は先の話だ。

ところで、ドゥブロバ医師などの方法で長崎と広島の被爆者の遺伝子を調べたところ、突然変異はほとんどなかった。原爆は瞬間的なインパクトを与えたが、長期の低線量被曝を起こさなかったということなのだろう。

従って、私には、低線量被曝が遠い将来の世代に与える遺伝的な影響が大きな問題だ。これは人類にとっての倫理的問題でもある。




☆震災取材のKBS撮影監督ら、被ばく許容限度超える
(韓国の聯合通信。2011年5月11日)

http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2011/05/11/0200000000AJP20110511003100882.HTML

http://www.asyura2.com/11/lunchbreak47/msg/686.html

KBS新労働組合の全国言論労組KBS本部によると、3月15~17日に東京付近を取材した撮影監督を検査した結果、放射線被ばく量が103ミリシーベルトと推定された。

染色体の分析結果では、1000個の細胞のうち、5個の細胞に異常が見つかった。

これに先だち、3日には別の撮影監督が放射線被ばく(148ミリシーベルト)によって1000個の細胞のうち、7個の細胞が損傷を受けたと診断されている。同監督は3月12~15日に福島付近で取材した。





《ヤブロコフ報告書より「被曝による遺伝子損壊や染色体突然変異」》

☆「チェルノブイリ」 第Ⅱ章 5節 遺伝的変異  フェアユース翻訳海賊版シリーズ⑤
http://www.asyura2.com/11/genpatu16/msg/646.html
投稿者 爺さん 日時 2011 年 9 月 20 日 02:24


固有名詞は英語のままです。原著P65~P78 表は原著を参照してください、専門用語はネットで調べて下さい。

(略)

(以下訳文 長いので誤訳があったらあしからず)

5.2 遺伝的変異

 生殖細胞と体細胞の遺伝子構造の変異は、多様な疾病の発生を決定し限定する。イオン化放射線は遺伝的構造に障害を引き起こす。

チェルノブイリの破局による莫大な集団線量は(1億2700万-1億5000万人/rad)、数世代にも及ぶ損害をもたらした。

それは遺伝的構造の変異と様々なタイプの突然変異をを引き起こしている。具体的には、遺伝子突然変異(染色体数の変異)、染色体突然変異(染色体構造の損傷--転座、欠失、挿入、反転)、小さな(点)突然変異。

 破局22年後に、チェルノブイリからの追加的放射線照射と結びついた、遺伝的障害に関するデータが公開された。

この節では、破局がもたらした様々なタイプの突然変異についてのデータが示されるとともに(Section5.2.1)、さらに、遺伝的に引き起こされた先天的発達異常と(Section5.2.4)、次世代、つまり放射線を照射された両親から生まれた子供たちの健康状態が示される(Section
5.2.5)。


5.2.1 突然変異発生頻度の変化

 チェルノブイリ・フォールアウトにより放射線照射された人たちにおいて、染色体の構造と正常な染色体数の変化を含む、染色体および遺伝子の突然変異頻度の増加を示す、説得力ある研究がたくさん存在する。

蓄積されたデータは、タンパク質の遺伝子多形とサテライトDNAの変異を示している。



5.2.1.1 染色体突然変異

イオン化放射線は染色体の全般的構造に様々な変異を引き起こす。

不安定異常(dicentrics, centric rings, noncentric fragments)、これは引き続く細胞世代で急速に取り除かれる。

安定異常(分離染色体部位の異なるタイプの転座)、これは何年間も保持される。

リンパ球を調べることで得られる体細胞の染色体異常発生頻度は、汚染地域の母親と新生児における二動原体dicentricおよび環状ring染色体異常の増加を含む、身体全体の染色体の全般的状態を反映している。(Matsko,1999)

 末梢血液リンパ球の組織学的分析は、染色体の構造的な異常と染色体数の異常を明らかにする。

いくつかの異常を伴う細胞の存在は、プルトニウムによる衝撃的影響のレベルを示すこともある。(Il'inskikh et al.,2002)

遺伝的変異性の付加的なパラメーターの一つはいわゆる有糸分裂指数、細胞100個あたりの有糸分裂数である。

 染色体異常の発生は必ずしも疾病の進展を意味しない。しかしそれは多分、体細胞の損傷(例えば血液細胞)による、多様な腫瘍の出現と、さらには損傷された生殖細胞の出現を警告している。

改変された生殖染色体の構造は(精子と卵子の)、次世代における様々な疾病への遺伝的素質を示している。

 染色体異常の発生率は、チェルノブイリからの放射性フォールアウトにより汚染されたすべての地域で、汚染されなかった地域より有意に高かった。(Lazyuk et al.,1990; Stepanova and Vanyurikhyna,1993; Pilinskaya,1994;Sevan'kaev et al.,1995a; Vorobtsova et al.,1995; Mikhalevich,1999; and others; Table 5.4)

チェルノブイリからのフォールアウトは、世界中で観察される既に増加した変異に加えて、さらなる染色体突然変異の増加を引き起こした。既知の突然変異増加は1980年代まで続けられた大気圏核兵器実験に結びついている。



5.2.1.1.1 Belarus

1. 染色体異常の発生数は、高レベルの放射線を伴う地域に住む子供たちの間で、標準より多い。(Nesterenko,1996; Goncharova,2000)

遺伝的変異は、破局的事故が発生した時に6歳未満であった人々の間で、特に共通して見られる。(Ushakov et al.,1997)

Mogilev州の汚染地域出身の女性と新生児における染色体異常頻度は(dicentrics and centric rings)、対照群より有意に高い。

そしてBrest州の汚染地域出身の学童は、汚染が相対的に少ないMinskの学童と比べて、そのような異常染色体の頻度が倍以上である。(Lazyuket al.,1944)

Cs-137のレベルが5-15Ci/km2(2,313Bq/kg-6,938Bq/kg)であるBrest州汚染地帯出身の、調査された子供たちの約52%は染色体異常数が有意に高かった。

これらの細胞発生的cytogenic変異は、末梢血液の分子遺伝学的、細胞学的、生化学的変異を伴っている。(Mel'nov and Lebedeva,2004)

2.DNA突然変異の平均発生率は、Belarusで破局後も汚染地帯に住み続けた両親から1994年に生まれた79名の子供たちにおいて2倍高かった。この数値は、イギリスに住む105名の対照群被験者のDNA突然変異に比べて、2倍以上だった。そして両親が住む地域の放射性汚染レベルと相関していた。(Dubrovaet al.,1996,1997,2002)

3.同じ子供たちを破局の1年後と2年後に検査したところ、染色体異常数の有意な増加が見られた。(5.2+0.5% in 1987 and 8.7+0.6% in 1988) この評価において2から4の異常を伴う多重異常の頻度が有意に増加していた。(16.4+3.3% in 1987 and 27.0+3.4% in 1988)
3から4の異常を伴う細胞の発生頻度は、より汚染されたKhoiniky地区とBraginsk地区で特に高かった。(Mikhalevich,1999)


4.汚染されたGomel州Chechersk市で破局後5から7年して生まれた子供たちに、染色体異常が増加している。(Ivanenko et al.,2004)

5.破局前と後で、同一人の血液細胞中のdicentricsとcentric ringの発生頻度が6倍増加していた。(Matsko,1999)

6.リクイデーターでは、末梢リンパ球中の微小核数が、放射線への被曝後長い年月を経ても(約20年)増加していた。(Table5.5)




5.2.1.1.2. Ukraine

1. 0から3歳で被曝した5,000人以上の子供たちの調査によれば、異常細胞と安定および不安定染色体異常の数は、他年齢被曝に比べ高かった。(Stepanova and Skvarskaya,2002; Stepanova et al.,2002a,b)

2.異常細胞と染色体異常の発生率は子宮内で被曝した子供たちで有意に高かった。(Stepanova et al.,2002a,b;Stepanova et al.,2007)

3.Pripyat市から退避した子供たちは、破局10年後も、個人としても(0.5-5.5 per 100 cells)集団としても(1.2-2.6 per 100 cells; Pilinskaya,1999)染色体異常の発生数が高かった。

Cs-137汚染が15Ci/km2(6,938Bq/kg)のNarodichi村出身の子供たちについて、不安定染色体異常の発生頻度は10年以上の間多少なりとも一定レベルを維持していた。ところが一方、安定染色体異常は増加していた。(Pilinskaya et al.,2003a)


4.リクイデーターの子供たちは染色体異常が高頻度を示している。(Horishna,2005)


5.破局の12から15年後、「サモセル」たち(自主居住者--30km居住禁止地帯に移住した人々; Tables 5.6, 5.7 and 5.8)の、染色体異常レベルと多重異常細胞数は有意に増加していた。

single-hit acentricsの発生頻度とtwo-hit dicentricsとcircular ringsの存在は(see Table 5.6)、低線量、低放射線線エネルギー付与(いわゆるlow-LET radiation,イオン化放射線が物質の中を通るときに飛距離の単位あたりで失う平均エネルギー--訳者)の引き続く影響を示している。

 6. 30km区域から退避した後最初の一年間の、退避者たちの不安定染色体異常レベルは対照群の値を有意に越していた。そして、その後14年間で次第に減少した。この細胞発生的cytogenic損傷の発生率は性差によらなかった。dicentricsとringsの出現頻度は汚染地帯での居住期間と相関していた。(Maznik,2004)

7.Cs-137土壌汚染レベル110-860kBq/m2(1,375Bq/kg-10,750Bq/kg)の汚染地域において調査された大多数と若い退避者の間で、安定的染色体異常発生率は有意に高かった。(Maznik and Vinnykov, 2002; Maznik et al.,2003)



8.放射線が引き起こした細胞発生的影響は、破局後10から12年間も、調査されたリクイデーターの30-45%において持続していた。

dicentric染色体とring染色体の数は、細胞100あたり0.5-1のレベルに安定化していた。対照群は0.2であった。安定的な細胞発生的変異の発生率は、細胞100あたり0.5-4.5に増加していた。対照群は0.1であった。(Pilinskaya,1999)


9.リクイデーターの安定的な染色体異常のレベルは、破局後10から15年間増加した。(Mel'nikov et al.,1998;Pilinskaya et al.,2003b)


10.リクイデーターの子供たちに遺伝的不安定の現象が見られた。(Stepanova et al.,2006)



5.2.1.1.3. Russia

1.子宮内で被曝した子供たちの染色体異常レベルは、メルトダウン後しばらくして生まれた子供たちよりも有意に高かった。(Bondarenko
et al.,2004)

2.遺伝子DNA修復の指標は汚染地域の子供たちの大部分で低かった。(Bondarenko et al.,2004)

3.1989年から1994年にかけて、Cs-137レベル100-1,000kBq/m2(1,250Bq/kg-12,500Bq/kg)であるBryansk州とKaluga州の汚染地域出身の1200名の子供たちにおいて、不安定染色体異常の発生率は高かった。
これらの異常の発生頻度は地域の汚染レベルと相関していた。(Sevan'kaev et al.,1955a,b; 1998)

4.Bryansk州のNovozybkov地区で、子供たちに染色体異常のレベル高進が見られた。Kuz'myna and Suskov,2002)

5.汚染されたOryol州Mtsensk地区とBolkhov市で、破局5年から7年後に生まれた子供たちに、染色体異常発生率の高まりが見られた。(Ivanenko et al.,2004)

6.Cs-137汚染レベルが5Ci/km2以上(2,313Bq/kg以上)の地域で、破局後生まれた子供たちのDNA修復活動(天然痘ワクチンウイルスの再活性化とそれに引き起こされた突然変異誘発により調べられる)は障害されていた。(Unzhakov et al.,1995)

7.新生児の異常細胞数と染色体異常数およびインデックス染色体切断のサイズは、誕生時の線量レベルと線量率と相関していた。(Kulakov et al.,1993)

8.破局17年後、Cs-137レベル111-200kBq/m2(1,388Bq/kg-2,500Bq/kg, Table 5.9)に汚染された地域出身の児童と10代のうち30-60%は、染色体異常の数値が高かった。(Sevan'kaev et al.,2005)

9.汚染地域での生活と(Bryansk,Tula,Kaluga州、1991-1997)、精神運動発達・先天性欠損・さらにあるいは微細異常および極端に高レベルのnear-centrometerC-heterochromatinとに相関があった。(Vorsanova
et al.,2000)

10.Cs-137レベル3Ci/km2以上(1,388Bq/kg以上)に汚染されたチェルノブイリ地帯の人々において、染色体異常の発生頻度は2倍から4倍増加していた。(Bochkov,1993)

11.T-locus(TCR)突然変異を伴うリンパ球数および染色体異常数は、重度に汚染されたBryansk州Novozybkov地区(708Bq/m2=8.85Bq/kg)とKlintsy地区(322Bq/m2=4.03Bq/kg)およびTula州Uzlovaya農場station(171Bq/m2=2.14Bq/kg)に住み続けた、子宮筋腫(myomas)を患う女性の放射線汚染レベルと相関していた。(Table5.10
数値原文のまま)

12.Bryansk州の汚染地帯に住む住民の染色体異常数は、比較的汚染されていない地域に住む住民よりも多かった。(Table 5.11)

13.Bryansk州の重度に汚染されたKlintsy地区とVyshkov地区の住民は、対照群と比べて有意に高い有糸分裂指数を示した。(Pelevina
et al.,1996)

14.15歳から28歳の検査された248人の内、dicentricsとcentric
ringsの出現率は対照群よりも2倍から4倍高かった。子宮内で被曝した被験者では、このような異常の生起頻度は対照群の5倍であった。(Sevan'kaefet al.,2006)

15.Oryol州の4汚染地区住民において、T細胞受容体(TCR)上と赤血球タンパク質グリコフォリン(GPA)上の遺伝子突然変異出現頻度は、対照群より高かった。(Sevan'kaefet al.,2006)

16.汚染されたTula州Uzlovaya農場stationとBryansk州Klintsy地区出身の、検査された336名の子供を生むことが可能な女性において、染色体交換異常の発生率は0.13+-0.03と0.37+-0.07であった。対照群はその1/2から1/6であった。(0.6+-0.04;Ivanova et al.,2006)

17.リンパ球と骨髄の染色体突然変異数は、リクイデーターおよび破局後3ヶ月間Pripyat市に住んでいた住民の被曝線量と相関していた。また明らかに対照群よりも多かった。(Tale5.12)(Shevchenko
et al.,1995; Svirnovsky et al.,1998; Bezhenar',1999;
Shykalov et al.,2002 その他)


18.リクイデーターの不安定的異常(dicentrics,acentric fragments,centric rings)と安定的異常(転座、挿入)を示す数値は、破局後一年目に有意に高かった。(Shevchenko et al.,1995;Shevchenko and Snegyreva,1996; Slozina and Neronova,2002; Oganesyan et
al.,2002; Deomyna et al.,2002; Maznik,2003その他、Figure 5.1)


19.破局から8年から9年後、リクイデーターの転座を伴う細胞数は対照群の2倍以上であった。(Table 5.13)

20.リクイデーターの転座数は対照群より有意に多かった。(Table 5.14)


21.破局から6年から8年後、Sarov市のロシア連邦核センターから派遣されたリクイデーターにおいて、染色体異常数は対照群よりも有意に高かった。(Table5.15)


22.破局10年後、1,000名のリクイデーターが染色体異常について有意に高い平均発生頻度を示した。(1986年からのリクイデーターで特に高かった。)(Sevan'kaevet
al.,1998)


23.リクイデーターのdicentrics発生率は破局後8年から12年の間に上昇した。(Slozina and Neronova,2002)
1,500名以上のリクイデーターが検査された。そして事故15年後でさえdicentricsの発生頻度は対照群よりも有意に高かった。(Snegyreva
and Shevchenko,2002)



5.2.1.1.4. その他の国々

1.YUGOSLAVIA.
破局後数ヶ月に妊娠した新生児において、染色体異常数は4.5%(1976-1985平均)から7.1%へと増加した。(Lukic et al.,1988)

2.AUSTRIA.
1987年に検査された17名の成人において、染色体異常数は4倍から6倍増加していた。そして2名について事故以前と1年後の検査を比較すると、11倍増加していた。(Pohl-Rulinget
al.,1991)

3.GERMANY (南部地域)
1987年から1991年に検査された29名の子供と大人において、染色体異常数は2倍から6倍増加していた。(Stephan and
Oestreicher,1993)

4.NORWAY (北部地域)
1991年に、56名の成人において対照群と比較して染色体異常数の10倍の増加が見られた。(Brogger et al.,1996;
Schmitz-Feuerhake,2006)




5.2.1.2.遺伝子突然変異

 染色体13,18,21のトリソミーが、これは染色体数の変異を示す遺伝子突然変異であるが、汚染地域で見い出されてきた。

5.2.1.2.1. トリソミー21 (ダウン症候群)

1.BELARUS.
1981年から1999年にかけた(2,786事例)ダウン症発生率の年毎のおよび月毎の分析は、1987年に全土で年増加を明らかにし、1987年1月にMinsk市とGomelおよびMinsk両州において月増加を明らかにした。(Lazjuk
et al.,2002)

また、1987年から1988年にかけて最も汚染された17地域において49%の増加があった。そして国全体では1987年から1994年までの期間に17%の増加があった。(Lazjuk
et al.,1997)

詳細な分析は1986年12月のダウン症発生率急上昇と、1987年のピークを明らかにした。(Figure 5.2)




2.GERMANY.

西ベルリンで1986年5月に妊娠した赤ん坊に間で、ダウン症の新生児数は2.5倍増加した。(Wals and Dolk, 1990;
Sperling et al.,1991,1994その他; Figure 5.3)

南部ドイツではトリソミー21の出現数増加は羊水穿刺診断によって決定された。(Sperling et al.,1991; Smitz-Fuerhake,2006)



3.SWEDEN.

北東地域でダウン症の新生児数が30%増加した。そこはチェルノブイリからの放射性核種により最も汚染された地域であった。(Ericson and
Kallen,1994)



4.GREAT BRITAIN.
チェルノブイリにより汚染された地域の一つであるScotlandのLothianで、ダウン症の新生児数が倍加した。(Ramsey rt al.,1991)



5.2.1.2.2. トリソミー13とその他の遺伝子突然変異

1.BelarusとUkraineの汚染地域からの写真は、パトー症候群(トリソミー13)の特徴を備えたたくさんの新生児の事例を示した。その異常は次の点を含む。多肢症、目の発達異常(小眼球症・先天的白内障・虹彩欠損)、三角頭蓋、口唇裂、鼻欠損など。
これらの症例の統計は入手できない。



2.汚染地域で生まれた子供たちの臨床的記述によれば、他の遺伝子突然変異を示す既知の症例がある。エドワード症候群(トリソミー18)、クラインフェルター症候群(X染色体付加)、ターナー症候群(X染色体欠落)、女性のXXX染色体、男性のXYY染色体。
これらの症例に関する統計は入手できない。


5.2.2.タンパク質の遺伝子多形とその他の遺伝的障害

 タンパク質の遺伝子多形は住民内intrapopulation遺伝的多様性の重要なパラメーターである。
子宮内で被曝したかあるいはチェルノブイリ事故後生まれた子供たちにおいて、タンパク質の遺伝子多形は、破局前に生まれた子供たちに比べて少ない。

この遺伝子多形性の低レベルは、先天的奇形およびアレルギーのレベルと負に相関している。また、貧血・リンパ節腫脹・感染症のしつこく引き続く現在の遠因をなす要因の一つであろう。(Kulakov
et al.,1993)

子宮内で被曝し破局後に生まれた子供たちは、同一地域で破局前に生まれた子供たちと比較して、タンパク質の遺伝子多形レベルが低い。(Kulakov
et al.,1993,1997)

またそれらの子供たちは、破局後の短期間あるいは長期間いずれで検討しても、DNA修復レベルが有意に低い。(Bondarenko et al.,2004)

 30km地区内で爆発6日後に(最初最大0.08Grの合計線量)、HeLa細胞培養において分裂増殖は急激に減少した。照射後7細胞世代の間この影響は続いた。大細胞形の増加は被曝後20細胞世代持続した。クローン形成能は24世代低レベルであった。(Nazarov
et al.,2007)

 DNA修復活動(天然痘ワクチンウイルスの再活性化とそれにより引き起こされた突然変異誘発により調べられる)は、Cs-137汚染レベル5Ci/km2以上(2,313Bq/kg以上)の地域で破局後に誕生した子供たちにおいて、損なわれていた。(Unzhakov
et al.,1995)



5.2.3.サテライトDNAの変異

 チェルノブイリからの放射線による突然変異数は、体細胞だけでなく生殖細胞でも増加した。被曝した両親から生まれ、BelarusとUkraneの汚染地域に住んでいる子供たちのミニサテライトDNA小突然変異のレベルは、イギリス出身の子供たちの約2倍である。(Dubrova,2003)



5.2.4.遺伝的に引き起こされた先天的発達異常

 すべての先天的奇形(CMs)と先天的発達異常(CDAs)の50から90%が、突然変異によると評価されている。従って、異常を伴う新生児の誕生は、付加的被曝の影響を含めて、遺伝的異常が存在することを明らかにできる。6,000以上の遺伝的に引き起こされる異常が知られている。(McKusick,1998)

医療統計は約30の最もありふれた遺伝的発達異常を考慮しているに過ぎない。住民集団の中に新規de
novo突然変異として新たに現れる先天的発達異常がある。新規突然変異は、多肢症・手足のサイズ変異・いわゆる多重先天的発達障害などの様な、先天的発達異常を決定する。これらの先天的発達異常は、重篤に汚染されたベラルーシ地域でより頻繁に生じる。そこは15Ci/km2以上(6,938Bq/kg以上)の汚染レベルである。(Lazjuk
et al.,1999a)

 遺伝的に引き起こされた新生児の先天的発達異常はしかし氷山の一角にすぎない。それは配偶子(精子と卵子)の発生初期相で取り除かれなかった突然変異の証拠である。着床に至るまでの及び着床中の受精卵において、または胎発生過程において。

 大方の突然変異は胎発生の初期段階で胎芽死にいたる。従って、遺伝的な先天的発達障害発生頻度の上昇は、配偶子段階の突然変異発生が数十倍、もしそうでなければ数百倍に増加した事を反映している、と仮定することは合理的である。


これらのプロセスが放射線汚染地域で生じていることは、次のことから証明できる。

(a)異常精子数の増加。

(b)自発的中絶の増加、これは胚死亡の増加を反映している。

(c)中絶された胎児における新規突然変異の増加、先天的発達異常を伴う中絶児の増加。

(d)最も汚染された地域で生じる、新規突然変異により定義される、多数の先天的発達異常。(Lazjuk et al.,1999)




5.2.5.被曝した両親の子供たち

 被曝した両親から生まれた子供たちの劣悪な健康状態を示すデータがますます集まりつつある。

1. 5cSv以上を1986年から1987年に被曝したBelarusリクイデーターの子供たちは、5cSv以下の線量を被曝した父親の子供たちと比較して、高いレベルの疾病率・はなはだしく多数の先天的発達異常(Figure
5.4)を示し、より多数の罹病新生児が見られた。(Lyaginskaya et al.,2002,2007)

2. 1986年のBelarusリクイデーターの家庭に、1987年に生まれた11歳児グループの調査は、血液疾患発生率と免疫状態の優位差を明らかにした。(Table
5.17)

3. 2000年から2005年に被曝した父親のもとに生まれた子供たちにおいて、年次全般罹病率はUkraine全体より高かった。(10,000人あたり1,135-1,367人
対 Ukraine平均960-1,200人--ウクライナ全体が高罹病率-訳者)これらの子供たちの内たった2.6-9.2%が「ほとんど健康practically
healthy」とみなされた。(対照群は18.6-24.6%; National Ukrainian Report,2006)

4.被曝した父親の元に生まれた子供たちには、先天的奇形と発達異常が対照群に比べより多かった。(National Ukrainian Report,2006)

5.Kaluga州で子宮内被曝した子供たちは、全般的罹病率が有意に高かった。それらの疾病は次のものを含んでいた。甲状腺疾患(州レベルの6倍)、先天的発達異常(州レベルの4倍)、尿生殖路・血液循環・消化器の疾病。(Tsyb
et al.,2006a)

6.Ryazan地域のリクイデーターの子供たちにおいて、病気の新生児・先天的発達異常・出生体重2,500g以下・子宮内発達遅滞・高罹病率・免疫機能障害それぞれの発生率が増加した。(Lyaginskaya
et al.,2002,2007)

7.Kaluga州リクイデーターの10歳以下の子供たちの疾病発生率は次の様であった。州レベルの5倍の甲状腺疾患、先天的発達異常の3倍増加、精神異常の4倍増加、循環器系疾患の2倍の発生率、慢性疾患の高発生率。(Tsyb
et al.,2006)

8.リクイデーターの子供たちは次の疾病の高発生率を示した。慢性的喉頭部疾患、赤血球変異、神経系機能障害、複数の歯の虫歯、慢性カタル歯肉炎、歯の異常。(Marapova
and Khytrov,2001)


9.リクイデーターの子供たちは、染色体異常(欠失・逆位・リング・同位染色分体・シングルフラグメント・ギャップ)とポリープ細胞をより多く示した。(Ibragymova,2003)

『原子炉清算に参加したTula州在住者の家庭において、チェルノブイリ破局後生まれた子供が473人いた。一見してその子供たちは興奮性亢進の点で他の子供たちと異なっていた。その子たちは叫ぶ、あれやこれやの理由無しに、適切な場所に座っていることが難しい・・・・』(Khvorostenko,1999)


10.リクイデーターの子供たちは、高レベルの消化器・呼吸器・神経・内分泌系疾患を示す。先天的発達障害と遺伝疾患が多く、感染症発生率が高い。(Ponomarenko
et al.,2002)

11.1987年から1999年に生まれたBryansk州リクイデーターの455人の子供で、1988年から2000年にかけて疾病率が全般的に増加した。(Table
5.18) 表から明らかなように、血液と血液形成器官の疾病は減少し、その他の疾病が有意に増加した。Bryansk州リクイデーターの子供たちの疾病率は、その地域の他の子供たちに比べて、さらに明白に増加している。Table5.19はBryansk州リクイデーターの子供たちと州全体の子供たちとの有意な差を示している。

12.Russianリクイデーターの子供たちは細胞免疫機能が低下している。それは絶対的及び相対的な細胞パラメーターの減少が示している。リクイデーターの子供たちは細胞性免疫の相対的増加を示している。(CD4細胞数の増加・免疫グロブリンAレベルのわずかな低下・基礎好中球増加活動の増進;Kholodova
et al.,2001)

13.リクイデーターの子供と子宮内で被曝した子供は次のことを示している。高頻度の安定的染色体異常、低レベルの修復活動、個々のindividualヘテロ接合。(Sypyagyna,2002)

 1945年に日本で、原子爆弾の爆発により被曝した両親から生まれた子供たちの2世と3世は、対照群と比べて、10倍の循環器系疾患と肝臓機能障害を患い、3.3倍の呼吸器系疾患にかかっていた。(Furitsu
et al.,1992)


多分、チェルノブイリで被曝した両親の子供たちが経験する健康問題は、次の数世代の間引き続くであろう。



5.2.6.健康状態の指標としての染色体異常

 国際原子力機関(IAEA)と世界保健機構(WHO)の、破局により誘発された染色体異常の発生に対する反応は、これらの変異はいかなる仕方でもどのみち健康状態には影響しないというものである。これは科学的に真実ではない。

末梢血管細胞において観察される染色体変異は、遺伝的及び個体発生的プロセスの全般的な障害を反映することができる。染色体異常レベルと病理的条件の数には相関がある。チェルノブイリ地帯においては、そのような結びつきのたくさんの症例が存在する。それらは次のものを含む。

1.リクイデーターの88%における染色体異常数と精神病理学的疾患及び二次免疫抑制の発現とは符合している。(Kut'ko et al.,1996)

2.染色体異常数は、精神器質性症候群を伴う者の間で著しく多い。また染色分体の異常数は、無力症と強迫恐怖症症候群を伴う個人において著しく多い。(Kut'ko
et al.,1996)

3.二動原体dicentricsと染色分体交換の数は、生得的発達異常と相関している。(Kulakov et al.,1997)

4.染色体切断数は、甲状腺機能不全および胚形成と関連した多量のスティグマと相関している。(Kulakov et al.,2001)

5.異常細胞・ペアフラグメント・リング・染色体切断の生起頻度は、新生児の免疫調整系の不安定と符合している。(Kulakov et al.,1997)

6.新規突然変異により定義される先天的奇形の発生率は、汚染レベルが15Ci/km2かそれ以上(6,938Bq/kg以上)の地域で有意に高い。(Lazjuk
et al.,1999b)

7.染色体異常数・微小核数・点突然変異発生率は、甲状腺ガンを伴う子供たちにおいて著しく高い。(Mel'nov et
al.,1999;Derzhitskaya et al.,1997)

8.異常の発生頻度は、汚染地域に住む個人の腫瘍細胞と「正常」組織において高い。(Polonetskaya et al.,2001)

9.精子の構造異常発生率は、染色体異常生起頻度と相関している。(Kurilo et al.,1993; Vozylova et
al.,1997; Domrachova et al.,1997; Evdokymov et al.,2001)

10.いくつかのグループのリクイデーターの抗酸化活動レベルは、染色体異常数と相関している。(Table 5.20)

11.熱性感染症の流行は、染色体異常のレベルと相関している。(Degutene,2002)

12.Bryansk州とTula州の汚染地帯において、異常あるいは多重異常細胞の数と子宮筋腫の発生とは相関している。(Ivanova et al.,2006)

13.リクイデーターの心臓血管系および消化器系疾患の頻度は、染色体異常レベルと相関している。(Vorobtsova and Semenov,2006)

これらすべての相関は示している。染地域のどこででも観察できる染色体異常の増加は、たくさんの疾病を発生させるリスクの指標であるとともに、遺伝的リスクの高さの指標でもある。



5.2.7.結論

 体細胞染色体突然変異・先天的奇形を引き起こす突然変異・タンパク質の遺伝的多形性・ミニサテライトDNA内の突然変異は、チェルノブイリから放出された放射性核種により引き起こされている遺伝的変異の、ほんの一部である。

チェルノブイリが引き起こした遺伝的変異の圧倒的多数は、数世代の間明らかにはならないであろう。

他の遺伝的変異のより完全な説明は、科学的方法の進歩とともに実現するであろう。

現在、細胞の遺伝的構造の変異は、チェルノブイリ破局の最初の危険信号であることが明白である。

この変異は放射線放出数日後に生じ、多様な疾病の発生を増加させた。

たとえチェルノブイリ放射線が短時間だけ持続したとしても(広島と長崎の様に)、その影響は、遺伝学の法則に従って、人類の数世代に影響を及ぼすであろう。(Shevchenko,2002)

予期されるチェルノブイリ遺伝的障害のほんの10%が、最初の世代に現れる。(Pflugbeil et al.,2006)

チェルノブイリ放射線は広島と長崎で放出された放射線よりも遺伝的にはるかに危険である。なぜなら、チェルノブイリメルトダウンから放出された放射性核種の量は700倍多かった、さらに、より多種の放射性核種が存在した。


チェルノブイリ破局の遺伝的影響は、数十兆のhundreds of millions人々に影響するであろう。それは次の人々を含んでいる。

(a) 1986年に全世界に拡散した、短寿命放射性核種の最初の放出に曝された人々。

(b) Sr-90とCs-137に汚染された地域に住みまた住み続ける人たち。これらの核種の放射性レベルが背景レベルにまで減少するには300年はかかるであろう。

(c) PuとAmに汚染された地域に住み続ける人たち。この致命的な放射能が崩壊する前に1000年が過ぎ去るであろう。

(d) 7世代にも渡る被曝両親の子供たち。(たとえ彼らがチェルノブイリ放射性核種フォールアウトから逃れた地域に住むとしても。)


(以上 暗澹たる気分になりますが、逃げな(か)ったのだから、覚悟の上で対処するしかありませんね。ただしこれ以上悲惨が拡散拡大されないように。我亡き後に洪水よ来たれは、聖書の中だけでけっこうだ。)