ページ
▼
2012年4月23日月曜日
〔史料〕劣化ウラン汚染地のサマワから帰還した米軍兵士たちが発病
[タグ]イラク。劣化ウラン弾。劣化ウラン。オランダ。サマワ。サマーワ。
これは「New York Daily News」が独自の調査で明らかにしたものとのこと。
この兵士たちはいずれもニューヨークの第442軍事警察所属。昨年3月からオランダ軍と交替する8月までサマーワにいた。任務としては付近のパトロールなどで、直接戦闘には従事していない。
この部隊の9人を調べたところ、4人が「ほぼ間違いなく米軍の劣化ウラン弾の粒子を体に持っている」と判明。また尿検査ではこの4人から2種類の人工ウラン同位体(U-236など)を発見したという。つまり劣化ウラン弾に違いないということになる。
兵士たちの証言では、よく破壊された戦車の横を車で通ったり、砂嵐を浴びたとのこと。この新聞記事では通常考えられているよりも、劣化ウラン粒子は拡散するという専門家の証言を載せている。
☆Shocking report reveals local troops may be victims of America's high-tech weapons
(2004年4月3日付のニューヨーク・デイリー・ニュース紙)
http://articles.nydailynews.com/2004-04-04/news/18258133_1_depleted-uranium-du-shells
Four soldiers from a New York Army National Guard company serving in Iraq are contaminated with radiation likely caused by dust from depleted uranium shells fired by U.S. troops, a Daily News investigation has found.
They are among several members of the same company, the 442nd Military Police, who say they have been battling persistent physical ailments that began last summer in the Iraqi town of Samawah.
"I got sick instantly in June," said Staff Sgt. Ray Ramos, a Brooklyn housing cop. "My health kept going downhill with daily headaches, constant numbness in my hands and rashes on my stomach."
A nuclear medicine expert who examined and tested nine soldiers from the company says that four "almost certainly" inhaled radioactive dust from exploded American shells manufactured with depleted uranium.
Laboratory tests conducted at the request of The News revealed traces of two manmade forms of uranium in urine samples from four of the soldiers.
(以下省略)
《記事の和訳》
劣化ウランに毒された? ショッキング・レポートは暴く
[第1記事]おそらく州兵たちはアメリカのハイテク兵器の犠牲者であろう
Poisoned? Shocking report reveals local troops may be victims of america's high-tech weapons
特別報告 フアン・ゴンサレス(デイリー・ニュース記者)
2004年4月3日(土曜日)
http://www.jca.apc.org/stopUSwar/DU/no_du_report15.htm
イラクで軍務についているニューヨーク州兵陸軍歩兵中隊所属の4人の兵士が、 米軍が発射した劣化ウラン弾によるダストに起因すると思われる放射能に汚染さ れているということが、「デイリー・ニュース」の調査で分かった。 彼らは、同じ第442憲兵中隊のメンバーである。彼らは、昨年夏にイラクの町 サマワで始まった持続的な慢性の体調不良と闘い続けている、と述べている。
「私は6月にはもう具合が悪くなっていた。」とブルックリンの住宅警官レイ・ ラモス二等軍曹は述べた。「私の健康はずっと悪くなり続けている。毎日頭痛が して、手にいつもしびれがあって、腹に発疹が出ている。」
この歩兵中隊の9人の兵士を診察し検査した核医学専門家は、4人が、劣化ウラ ンで作られたアメリカ製砲弾の爆発から生じた放射性ダストを吸入したのは「ほとんど確実だ」と述べている。「デイリー・ニュース」の求めで行なわれた検査 は、4人の兵士から採取した尿サンプルにおいて、二種類の人工的組成のウラニ ウムが微量含まれていることを明らかにした。
もしそうであれば、この4人、ヘクター・ベガ軍曹、レイ・ラモス軍曹、アグス ティン・マトス軍曹、アンソニー・ヨナン伍長は、現在のイラク戦争で吸入され た劣化ウラン被曝の確認された最初の症例である。 第442憲兵隊は、大部分がニューヨークの警察官、消防隊員、刑務官で構成さ れていて、ロックランド郡オレンジバーグに本拠を置いている。この部隊のメン バーは、昨年のイースター(復活祭)にイラクに配備され、物資輸送の護衛を行 ない、拘置所を管理し、イラク警察を訓練してきた。この歩兵中隊全体は、今月 末帰還する予定である。 「これらは驚くべき結果だ。とりわけ、これらの兵士は憲兵であって戦闘の真っ 最中に被曝したのではないからだ。」と、アサフ・ドラコビッチ博士は述べた。 博士は米軍兵士を診察し「デイリー・ニュース」が費用負担した検査を行なった のである。 「戦闘に加わっていた他の米軍兵士たちは、もっと多くの劣化ウラン被曝をして いるに違いない。」とドラコビッチ博士は述べた。
博士は、1991年湾岸戦争 の時には現役であった陸軍予備役大佐である。 デラウエア州の陸軍病院で勤務していた時、博士は湾岸戦争帰還兵に異常な放射線レベルを発見した最初の医師たちの中の一人であった。それ以来、博士は戦闘 における劣化ウランの使用の主要な批判者となった。
劣化ウランはウラニウム濃縮過程の廃棄物であるが、15年以上にわたって、砲弾にそしてまた戦車の装甲として、アメリカ軍およびイギリス軍によって使用されてきた。劣化ウランは鉛の2倍の重さである。 その密度のために、「それ(劣化ウラン)は、戦車を守る装甲としての、また装甲を貫通するための、優れた重金属である。」と、ペンタゴンのスポークスマン、 マイケル・キルパトリックは述べた。
陸軍と空軍は昨年イラクで、少なくとも127トンの劣化ウラン砲弾を発射した、 とキルパトリックは述べた。海兵隊がどれぐらい発射したかについての数値は、明らかにされていない。
キルパトリックによれば、イラク戦争から帰還した約1000人の米兵がペンタ ゴンによって劣化ウランの検査を受け、3人だけが陽性となったが、すべてはDU砲弾の破片(を体に受けた)の結果である、ということである。 しかし、ニューヨーク州兵の9人中4人がDU陽性であるという検査結果は、連合軍兵士とイラク市民の間に、より広範な放射性被曝がある可能性を示している。
近年のいくつかの軍の研究は、DUを含む砲弾が爆発する際に放出される低レベル放射線は重大な危険をもたらすものではないと結論づけてきた。しかし、独立系の科学者たちの中に、またわずかだが軍自身の報告にも、そうではないことを示しているものがある。
結果として、劣化ウラン兵器は、世界中でますます大きな論争を引き起こしてい る。2003年1月に欧州議会は、DU兵器が使われたコソボに従軍したイタリ ア兵士の間に異常な数の白血病死が報告されて後、その使用のモラトリアムを求 めた。
■私はますます弱っていく。私にいったい何が起こっているのか?■
陸軍によれば、劣化ウラン弾の破片によって負傷した兵士または爆発の時に戦車の中にいた兵士のみが、測定できるほどの放射線被曝に直面するという。 しかし、はるか以前の1979年に、ニューヨーク州北部のノウルズ原子力研究 所の物理学者レオナルド・ディーツは、DUに汚染されたダストが長距離を移動 しうるということを発見していた。
ディーツはウラニウム同位体を分離する技術を開発した先駆者であったが、偶然 次のことを発見した。彼が実験に使っていたエア・フィルターが、26マイル離 れたところでDUを生み出していた国立鉛工業プラントからの放射線ダストを収 集した、ということである。彼の発見でこのプラントは閉鎖に追い込まれた。 「この汚染はとても重大であったので、このプラント周辺の52カ所の地所から 表土を取り除かねばならなかった。」と、ディーツは述べている。 天然ウラニウムは水や食物の中に見出されるので、あらゆる人間は、その体内に ほんのわずかではあるが天然ウラニウムをもっているとディーツは言う。しかし、 天然ウラニウムはすぐに害なく体外に排出される。ウラニウム酸化物ダストは、 いったん吸入されて肺にとどまると、非常に溶けにくく、何年にもわたって体内 に放射線を放出しうる。
「民間人であろうが兵士であろうが、これらの微粒子を吸引するものは誰でも永 久に被曝し、それは長期にわたってあまり減少しない。」と、核物理学者として 33年間活躍した後に1983年に引退したディーツは言う。
「結局は...セ ラミック状ウラニウム酸化物に被曝した帰還兵たちは大きな問題を抱えている。」 DUの批判者たちは、その危険性についての軍の観点が、時を経るにつれて変わってきていることに注目してきた。
1991年の湾岸戦争の前に、1990年の軍報告は次のことに注目していた。 劣化ウランは、「被曝が体内的であればガンに結びつき、化学毒性は腎臓障害を引き起こす。」ということである。 米軍のA-10ウォートホグ対戦車攻撃機とエイブラムズ戦車が初めて大規模に DU弾を使用したのは、湾岸戦争においてであった。ペンタゴンによれば、湾岸 戦争で約320トンのDUが発射された。そして、より小規模には、コソボのセ ルビア人地区でも使用された。 湾岸戦争では軍首脳は、爆発するDU砲弾の危険性について、兵士たちに何の警 告もしなかった。数知れない米兵が、劣化ウラン弾の破片によって、あるいは吸入によって、また戦場の瓦礫を処置したことによって被曝した。 いくつもの帰還兵グループが、DU汚染を湾岸戦争症候群の要因として非難して いる。
この湾岸戦争症候群という言葉は、湾岸戦争から帰還した何千人もの兵士 を苦しめた多くの症状に対して付けられたものである。 複数の帰還兵グループからの圧力で、米国防総省は、いくつかの研究を新たに委 託した。そのうちの一つは2000年に公表されたが、次のように結論づけた。 DUは、重金属として「化学的な危険をもたらすかもしれない」が、湾岸戦争帰 還兵は「健康に影響するほどには(劣化ウランの)摂取はしなかった」と。 米国防総省スポークスマンのマイケル・キルパトリックは、軍による70人のD Uに汚染された湾岸戦争帰還兵の追跡調査によれば、深刻な健康への影響は示さ れていない、と述べた。 「どんな重金属についても、安全といえるものはない。」とキルパトリックは言 う。「どれも化学毒性の問題がある。そしてDUについては、放射性の毒性も問 題としてあげられる。」と。 しかし、彼は次のように言う。ウラニウム関連産業で働く人々についての諸研究 から導き出される「圧倒的な結論」は、「それ(DU)が何らガンを増加させて はいないということを示している。」と。
しかしながら、いくつかのヨーロッパでの研究は、劣化ウランをネズミの染色体 損傷や先天的障害に関連づけている。多くの科学者によれば、我々は、人体への 低レベル放射能の長期的影響については、どの程度の量なら安全であると言える ほどには、まだ十分に知ってはいないという。 イギリスの国立科学アカデミー英国学士院は、DUが使用された場所を明らかに することを要求し、汚染された地域をクリーンアップするよう強く迫っている。 「とても多くの米兵が(イラクで)、ウラニウム酸化物ダストで深刻に被曝した 可能性がある。」と、マウント・サイナイ医療センターの病理学者で劣化ウラン の専門家であるトーマス・ファシィ博士は述べた。「そして、その健康への影響 が将来へ向けて心配される。」と。 第442憲兵隊の兵士について言えば、彼らは、病気になってフラストレーショ ンがたまり困惑し茫然自失になっている。彼らによれば、イラクに到着した時、 誰も彼らに劣化ウランについて警告してはくれなかったし、誰もダスト・マスク を与えてはくれなかったという。
■本紙の調査を支える専門家たちの精査■
「デイリー・ニュース」による調査の一環として、核医学の専門家で劣化ウラン に関して広範な調査研究を行なってきたアサフ・ドラコビッチ博士が、昨年12 月に第442憲兵隊の9人の兵士を診察し、それぞれから尿サンプルを集めた。 彼のチームのメンバーであるアクセル・ゲルデス教授は、フランクフルトのゲー テ大学の地質学者でウラニウム同位体分析を専門としているのだが、1週間以上 もかかるこの尿サンプルの分析検査を行なった。彼は、マルチコレクター誘導プ ラズマ質量分析器(MC-ICP-MS)と呼ばれる最新の機材と処理手順を用 いた。 ゲルデス教授によれば、さまざまなウラニウム同位体を極微量で特定し測定する 能力がある実験室は、世界中で約100しかない。
ゲルデス教授は、4人の兵士 が体内に劣化ウランをもっていると結論づけた。
劣化ウランは天然に生じることはない。それは、天然ウランの高度な放射性をもった同位体ウラン235とウラ ン234が抽出されるとき、このウラン濃縮の廃棄物として生成される。
ドラコビッチ博士によれば、兵士たちの何人かからは他のウラニウム同位体ウラン236もごく微量検出された。このウラン236は、核反応過程においてのみ生み出されるものである。「これらの兵士たちが戦場で放射能兵器に被曝したこ とは、ほぼ確実である。」とドラコヴィッチ博士は述べた。
ドラコビッチ博士とゲルデス教授は、今年フィンランドで行われるヨーロッパ核医学協会の年次会合で、これらの兵士たちの研究に関する科学的な論文を発表す る計画である。DU砲弾が爆発する時には、それは攻撃目標とその周辺地域を低 レベル放射能で永久に汚染するのである。
http://www.jca.apc.org/stopUSwar/DU/no_du_report16.htm
■[第2記事]兵士達、健康上のリスクを知りたいと要求■
Soldiers demand to know health risks
ウォルター・リード軍医療センターの医者達は最近、レイ・ラモス特務軍曹に、 生体組織検査の結果、彼の発疹がリーシュマニア症に由来することが分かった、 と告げた。その病気はスナバエによって広がり、イラクでは数百人の兵士がかか った。 しかし、先週まで、軍医達は442憲兵中隊に属するラモスと他の2、3人の彼 らの尿の劣化ウランを分析するようにという要求を拒絶した。その検査には最大 1000ドルかかるかも知れない。 本紙の調査の中で検査した9人のうちの3人、ハーバート・リード軍曹、ウイリ アム・ルイス特技兵、アントニー・フィリップ特技兵は11月に陸軍によっても検査された。
しかし、その結果は繰り返し問い合わせを行ったにもかかわらず、 数ヶ月間も保留にされたのである。
先週、陸軍当局者が第442中隊について新聞の質問を受けた後で、そして中隊 のあるグループが独立の検査を求めたことが分かった後で、ウォルター・リード 病院の責任者はリードとフィリップに対して、11月に行った検査の結果は劣化ウランについては陰性だった、と伝えた。 本紙の検査でも、リードとフィリップは陰性の結果を示した。
しかし、ラモスの 検査は陽性を示した。サマワで劣化ウランについての疑問を提起したのは第44 2中隊の兵士達だけではない。
8月に、オランダ兵の分遣隊がアメリカ兵と交代するために町に到着した。オラ ンダの新聞のレポートは、オランダ当局がサマワでの劣化ウラン弾の使用の可能 性について前もって米国に質問したことを明らかにした。第442中隊の上級衛 生兵であるホワン・ベガ軍曹によれば、オランダ兵はガイガー・カウンターで列 車の車庫の回りの地域を調べて回り、そのオランダ軍の衛生兵達が彼に高い放射 線レベルを発見したと打ち明けたのである。オランダの部隊は車庫に留まること を拒絶して、代わりに砂漠に野営を張った、とベガは述べた。
そして2月に、日本軍がその同じ町に入ってきた後で、ガイガー・カウンターを 持っている日本のジャーナリストは、放射線の数値がバックグラウンド・レベルよりも300倍も高い、と報告した。
「我々がそこに着く前に、サマワでは多くの戦いがありました」と2等軍曹レイ ・ラモス(41歳)は言った。「その場所はとてもほこりっぽかったし、かなり ひどい砂嵐が我々を襲っていました。」 ラモスは最初、うだるようなイラクの猛暑によって倒れたのだと思ったので、す ぐに回復するだろうと予想した。 「私の健康は、どんどん悪くなっていきました」と、彼は言った。「私は、何とかしようと毎日訓練をしましたが、ますます弱まっていきました。両手と顔の感 覚がしびれたようになり、そして、偏頭痛が絶え間なく起こるようになりました。 私は、脳卒中を起こしているんじゃないかと怖くなりました。」
彼は治療のために最初バグダッド病院に送られた。ところが、神経科医が誰もい なかったので、彼はドイツに送り出され、結局は米国に送り返された。 「私は、4ヶ月間、腹部の発疹が収まりませんでした」と、ラモスは言った。 「そして、今でも、私が横になる時はいつも、手の感覚がなくなるんです。」 ウォルター・リードの医者達はてこずってきた。彼らは、夜に彼の手の感覚がな くなるのを防ごうと、添え木を装着した。そして、たくさんの筋肉弛緩剤や鎮痛 剤を処方してきた。ところが何の役にも立っていない。
「私には4人の子供がいます。もし私が働くことができなければ、彼らはどうなるのでしょうか?」と、ラモスは言った。彼は軍務から戻った後、ニューヨーク 警察の住宅局からブルックリン第75管区の強盗部門に異動することを待ちわび ていた。「私は、私の体に一体何が起こっているのか、調査してもらう必要があるのです。」 ニューヨークのフィッシュキルにある復員軍人援護局に属する警官である、アン トニー・ヨノン伍長(35歳)は、検査で陽性の結果が出た4人のうちで劣化ウランのレベルが最も高かった、と本紙の資金提供による検査を行ったアサフ・ド ラコビッチ博士は言った。
ヨノンは、吐き気、発疹と偏頭痛が始まったのはサマワでだった、と言った。
「頭痛は絶え間なく起こり、どうしても止まりませんでした」と、彼は言った。 「発疹は、出たり直ったりを繰り返しているようです。」 「パトロールをする時は、我々は、いつも破裂した戦車のそばを通っていました」
彼は、その町の米軍部隊が駅の近くで、大きなドラム缶の中で毎晩屑と廃棄物を燃やしていたことを思い出した。「私たちがそれに火をつけると、煙と砂の混合物がみんなの体を覆いました」と、彼は言った。
ヨノンは、小規模な手術のため に8月にイラクから引き揚げ、最初にドイツに送られた。 「彼らは我々に調査票を与えました。劣化ウランがイラクにあることさえ誰も我 々に話さなかったので、劣化ウランに被曝しなかったというところに印をつけま した」と彼は言った。
■[第3記事]問題の野営地の中で
Inside camp of troubles
http://www.jca.apc.org/stopUSwar/DU/no_du_report16.htm
第442憲兵隊の兵士たちは、イラクへ行く前に劣化ウランについて聞いたこと は一度もなかった。彼らはただ、説明がつかないさまざまな体調不良が自分たちにふりかかったということを知っているだけである。 昨年、この中隊の十数人もの兵士たちが、さまざまな病気の治療のためにフォー ト・ディックス基地へ送り返された。彼らの懸念に対処する軍のやり方に失望して、彼らは、自分たちの体験についての本紙の多岐にわたるインタビューに応じ た。
そして彼らのうちの9人は、そのあと結局、アサフ・ドラコビッチ博士が率 いる専門家チームによる検査に進んで応じた。
兵士たちによれば、彼らのうちのたいていは、昨年夏サマワに駐屯しているうちに病気になったのである。
サマワは、バグダッドの南方150マイルにある町で、 戦争の第1週目に激しい戦闘が行われた場所である。
彼らの部隊は、ディワニヤ、カルバラ、ナジャフに短期間滞在した後、6月にこの町に入った。彼らは、町の郊外にある巨大な、ほこりっぽい、害虫などがはびこる、列車の発着場で野営地を設営した。彼らが言うには、まさにそこで彼らの 問題が始まったのである。
「ある夜、10人から15人が103度(摂氏39.4度)を超える熱を出し、 悪寒や、その他さまざまな説明のつかない症状がおこった。」と、この中隊の衛 生兵の長フアン・ヴェガ軍曹は述べた。
彼によると、中隊の160人の兵士のう ち十数人が突然腎臓結石を発症したという。 陸軍の1990年の研究は、DUを、まさに「腎臓障害を引き起こす化学的毒性」 と結びつけていた。
「私は、指揮官にこう言ったんです。『我々は、この地獄、この場所から抜け出 す必要があります。ここには何か悪いものがあるにちがいありません。』」と、 34歳のニューヨーク消防局の救急救命士であるヴェガは述べた。
兵士たちは、中隊が寝起きしている場所から100ヤード(約91メートル)も 離れていないところの平積み貨車にイラクの2台の戦車が積み込まれて運ばれて いったのを思い起こしている。そのうちの1台は、砲撃されてすっかり破壊されていた。 米国防総省当局者は次のことを確認した。DU貫通体が目標にあたって爆発する とき、ウラニウム酸化物の細かいエアロゾルや放射性ダストができるので、劣化ウラン弾が命中した戦車は、戦場での放射能の最も大きな発生源の可能性がある ということである。戦車が人に近いところにあればあるほど、ダストを吸引する 危険性は大きくなる。
さらに、国連のイラクに関する環境報告は、昨年、次のことを警告していた。 「高性能のダスト・マスクを着用していなければ、」劣化ウラン弾によって攻撃された目標物から150メートル以内では、「DUダストを吸引する高い可能性 がある」ということである。
兵士たちは、ダスト・マスクを受け取ったことなど一度もなかった。