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2012年2月22日水曜日

〔被曝メモ〕ベラルーシとウクライナにおける健康被害


東葛地域における健康被害の参考に:
ベラルーシのブレスト地区とウクライナのナロジチ地区における健康被害


ウクライナのナロジチ地区では年間線量1.3mSv(外部被ばく・内部被ばく計、1991~2004年の平均)で年々健康被害が拡大し、2008年にピークを迎えたといいます。千葉県の東葛地域では容易に1.3mSvを超えてしまいます。また、ベラルーシのブレスト地区におけるCs137汚染は3.7~18.5万Bq/㎡(1990年)で、対照地区と比べ、子どもと大人の健康被害が増加しています。東葛地域のCs134、Cs137汚染は3万~10万Bq/㎡(2011年9月)であり、健康被害が心配されます。


東葛地域における健康被害の参考に:ベラルーシのブレスト地区とウクライナのナロジチ地区における健康被害
http://2011shinsaichiba.seesaa.net/article/253327026.html

P.Shidlovskyがベラルーシ保健省の公式誌「Zdravookhranenie Belarusi」にベラルーシのブレスト地区(1990年)における子どもの罹患率を報告し、それをMikhail V. Malkoが京大原子炉実験所原子力安全研究グループのサイトに掲載している。

Research Activities about the Radiological Consequences of the Chernobyl NPS Accident and Social Activities to Assist the Sufferers by the Accident
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/reports/1998/kr-21/contents.html
Chernobyl Accident: the Crisis of the International Radiation Community
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/reports/1998/kr-21/Malko96-1.html
Mikhail V. Malko
Institute of Physical and Chemical Radiation Problems of the Academy of Sciences of Belarus

P.R.Shidlovsky. General Morbidity in Brest Region. Zdravookhranenie Belorussii (Minsk). 1992, N5, pp. 13-17 (in Russian).

Shidlovskyは17万9800人を対照群として、Cs137汚染が37~185 kBq/㎡ (1-5 Ci/㎢)の地域の18万2900人を調査した。その結果が表3で、ECRR2010年勧告の表13.4と同じ。

http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/reports/1998/kr-21/Malko96-1.html
Table 3 Indices of general morbidity of children in 3 contaminated and 5 control districts (rayons) of the Brest region in 1990.

ECRR2010年勧告 表13.4 ベラルーシのブレスト地域(1990年)の3つの汚染地域と5つの参照地域における、子供10万人当たりの身体的疾患の指数(Malko 1997より)
(注:PDF)
http://www.jca.apc.org/mihama/ecrr/ecrr2010_chap13.pdf

チェルノブイリ事故による非がん性疾患の増加については、IPPNWがベラルーシのゴメリ地区の場合を報告している。ただ、高汚染地区なので、福島以外における福島原発事故の被害を推測するには、ブレスト地区の例が参考になると思う。ブレスト地区の放射能の下限域は2011年9月段階の東葛地域の値と重なる。

Health Effects of Chernobyl, 25 years after the reactor catastrophe, IPPNW & Society for Radiation Protection, April 2011
http://www.ratical.org/radiation/Chernobyl/HEofC25yrsAC.html#07.00
ベラルーシ南部の高汚染地区ゴメリにおける1985年から1997年までの子どもにおける疾患(主に非がん性疾患)
Table: New illnesses amongst children in the Gomel area (Belarus) per 100,000 children

日本語訳
Peace Philosophy Centre: ベラルーシ・ゴメリでの、子どもの非がん性疾患の激増 Sharp increase of non-cancer diseases in children in Gomel, Belarus
http://peacephilosophy.blogspot.com/2011/09/sharp-increase-of-non-cancer-diseases.html

データはゴメリ地区病院による。
Organisational-methodical dept. of the Gomel district hospital, state health centre for the Gomel area: Basic data on inhabitant morbidity in the Gomel area from 1985-1997, Gomel 1998.



(注:PDF)
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/1910/2011/09/1910_092917_1.pdf
文部科学省による埼玉県及び千葉県の航空機モニタリングの測定結果について(平成23年9月29日)

野田の一部を除く東葛6市のほとんどで、Cs134、Cs137の地表面沈着量(9月12日相当)は3万~6万Bq/㎡、松戸、柏、流山、我孫子の一部は同6万~10万Bq/㎡となっており、放射線管理区域の基準4万Bq/㎡を超える地域がほとんど。



チェルノブイリ救援・中部のサイトから

FUKUSHIMA of チェルノブイリ救援・中部

http://www.chernobyl-chubu-jp.org/pg244.html

(注:PDF)
http://www.chernobyl-chubu-jp.org/_userdata/msoumasokutei.pdf

参考2 ナロジチ地区の人々の被曝線量

ウクライナ・ジトーミル州では、内部被曝の影響が外部被曝の影響の3倍、ウクライナ全体でも2倍あったというデータもある。
*ウクライナ保健省の調べ

セシウム137内部被曝線量
1人あたり平均17000ベクレル⇒0.5~0.6mSv/年に相当
1日あたり摂取した食品中に120ベクレルのセシウムが含まれているとして、それを1年間続けるとこの値に到達する

参考3 ナロジチ地区の人々の健康被害

健康への影響は年々拡大して、最新の調査を行った2008年(チェルノブイリ原発事故から22年後)が最大となった

<地区住民が病気にかかった割合(罹患率)>
*罹患率:その1年間にその疾患にかかった人数÷調査対象の地区住民数
*総罹患率:その1年間にかかった疾患の総数÷調査対象の地区住民数
(たとえば、1人が1年間に2種類の疾患にかかった場合2疾患と数える)

総罹患率   新生物
成人(18歳以上)   10人に6人  100人に3人
子ども(17歳以下)  1人2疾患  100人に12人

*新生物:良性腫瘍と悪性腫瘍(ガン)を合わせたもの
*2008年ナロジチ地区病院調査より

<罹患率に関する考察>
例えば、年間1.3mSv(ナロジチ地区1991~2004年の平均)を20年間計26mSvの放射線を浴びた場合、ICRPが示すガン死の確率は1000分の1.3となる。この値を基準にして上記のナロジチ地区住民が病気にかかる確率を考えると⇒成人の新生物(腫瘍)で約23倍、総罹患率で460倍、子どもは、さらにその3~4倍の影響となる。これは、内部被曝が伴う場合、ICRPが勧告する年間許容線量1mSv以下でも健康への影響が大きいことを示していると考えられる。


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